瀬戸内海の夕日と夕焼けを楽しもう!おすすめのスポット5選
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はじめに
日本の美しい夕日・夕焼けスポットの宝庫として知られる瀬戸内海。穏やかな海と点在する島々が織りなす風景は、夕暮れ時に特に魅力を増し、幻想的な光景が広がります。
瀬戸内海エリアは一年を通じて穏やかな気候に恵まれているので、四季折々の異なる夕焼けの表情を楽しむことが可能です。また、海岸線や島々の高台など、夕日を楽しむための絶好のロケーションも数多く存在します。
ぜひ、瀬戸内海で静かに沈みゆく太陽と色づく空を眺めながら日常の騒がしさを忘れ、心を落ち着かせるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
本記事では、瀬戸内海エリアで美しい夕日・夕焼けを楽しめるおすすめスポットを5つ厳選してご紹介します。
瀬戸内海エリアの特徴
おすすめの夕日・夕焼けスポットをご紹介する前に、瀬戸内海エリアが夕日や夕焼けを楽しむのに適している理由をご紹介します。
第一の理由は自然条件です。
海には障害物が少なく、高い建物などで夕日が隠れることもありません。また、瀬戸内海エリアは晴れの日が多いため、美しい夕日や夕焼けを見れるチャンスも豊富です。風が弱く、波が穏やかなことも好都合。
さらにたくさんの島々は、夕日や夕焼けを見るロケーションにも適しており、海の風景に表情を加えてくれます。
第二の理由は、適度に人工物が存在することです。
瀬戸内海エリアには、島を結ぶ橋や造船所のクレーン、歴史的な建造物などが存在し、そこにしかない風景をつくりだしています。悠々と進む大型貨物船や、郷愁を誘う小さな漁船なども、夕景に趣を添えるでしょう。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット おすすめ5選
本チャプターでは瀬戸内海の夕日・夕焼けスポットの中から、海、島、人工物との組み合わせが面白いおすすめのスポットを5つご紹介します。
また、夕日・夕焼けスポットの近くで楽しめるグルメについても紹介していますので、あわせてチェックしてみてください。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット①
鷲羽山(わしゅうざん)
岡山県南部にある鷲羽山は、標高133mの小さな山。日本初の国立公園に指定された、瀬戸内海エリアの中でも代表的な景勝地であり、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋の本州側の起点としても知られています。
鷲羽山から見る夕日は、瀬戸内海の多島美や瀬戸大橋との組み合わせがポイントで、「日本の夕陽100選」にも選ばれました。
鷲羽山にはいくつもの展望台がありますが、主な選択肢は駐車場から近い第二展望台と、瀬戸大橋を良い角度で見下ろせる第一展望台です。
おすすめの時期は、海側に日が沈み日没も早い冬。特に冬至前後であれば、日没後のゴールデンアワーまで楽しんだ後、最終便のバスで帰れます。
なお、鷲羽山へは車でも公共交通機関でも行け、公共交通機関を利用する場合は、児島駅からバスで約30分ほど。
児島駅からは通常のバスのほか、曜日限定で夕景観賞バスも運行しています。展望台での滞在時間は短くなってしまうものの、車窓から夕景を見られるので、夕景観賞バスの利用もおすすめです。
ちなみに、鷲羽山周辺で食事する場合、早い時間であれば、第二展望台付近にある「鷲羽山レストハウス」が便利。岡山県のご当地グルメであるデミカツ丼、タコ飯とビビンバをミックスした石焼タコンバなどが食べられます。
夕日・夕焼けの観賞後であれば、児島駅から徒歩7分の海鮮料理店「瀬戸内の味 清香」がおすすめです。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット②
宮島 御笠浜(みかさのはま)
広島県廿日市市にある厳島、通称宮島は、世界遺産に選ばれた厳島神社のある島として、また紅葉の名所としても知られています。宮島も、瀬戸内海の美しい夕日・夕焼けが見れるおすすめのスポットのひとつ。
宮島の夕日は、厳島神社との共演が、他のスポットにはない大きな魅力です。
宮島へ行くには、宮島口の港から宮島の港へフェリーで約10分。ただし、観光シーズンは混雑するので注意しましょう。
船を下りてから徒歩約15分で、厳島神社の大鳥居から一番近い陸地である、夕日スポットの御笠浜へ。ここから夕日を見るとほぼ真西に大鳥居があり、天気などの条件が良ければ、夕焼けを背景にした大鳥居を見ることができます。黒いシルエットの大鳥居と夕焼け空との組み合わせは、神聖であると同時に、平和と安らぎを感じさせる風景です。
日没30分後からはライトアップもあるので、続けて楽しむのもよいでしょう。フェリーの便は深夜まであるので、ライトアップまで見ても十分余裕があります。
また、宮島へ行く際は、表参道での食べ歩きもおすすめ。人気観光地である宮島には、表参道商店街を中心にたくさんの飲食店があります。日没の時間まで、軽食やスイーツを楽しむのも良いでしょう。
ただし17時前後に閉店する店が多いため、遅い時間の選択肢は少なくなります。
夕日・夕焼け観賞後に夕食をとる場合は、表参道にある「穴子と牡蠣 まめたぬき」や本土側にある「あなごめし うえの」がおすすめです。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット③
四国水族館
四国水族館は2020年に開館した水族館で、香川県宇多津町の海辺、駅から徒歩15分という立地にあります。比較的新しい水族館なので、下から見上げる水槽やカラー照明の水槽など、「見せ方」を意識した展示が魅力です。
四国水族館で見られる夕日のポイントは、夕日と瀬戸内海を背景にしたイルカショー。
イルカショーのプールは海の間近にあり、プールの端が目立たない設計のため、海まで続いているような開放感があります。そして、時期限定で行われるサンセットプログラムでは、日没ごろの時間にショーが行われ、「夕日、海、イルカ」のコンビネーションを見ることができます。
あかね色の空、水面のきらめき、飛び散る水しぶき、ジャンプするイルカのシルエット。この光景は他では見られません。
なお、サンセットプログラムがあるのはゴールデンウィーク、夏休みなど。ショーは18時30分開始です。
四国水族館周辺で食事をする場合、ショー前ならば水族館から徒歩2分の「海と空のカフェ」がおすすめです。自家焙煎コーヒーがメインの店で、古代米を使用したパンのホットサンドはザクザクとした食感が魅力。
夕食であれば、電車で一駅のところにある「骨付鳥 一鶴」がおすすめです。骨付鳥とは鶏の足を骨付きのまま焼いたもので、香川のソウルフードのひとつ。肉、塩、スパイスというシンプルな味付けながら食欲をそそる一品です。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット④
呉市(くれし)
広島県南部の呉市もまた、夕日の街として知られています。呉はかつて軍港として栄えた街で、現在も海上自衛隊呉基地がおかれています。海上自衛隊の基地と夕日の組み合わせを見れるのは、瀬戸内海エリアではここだけです。
呉でのおすすめスポットは「アレイからすこじま」と「歴史の見える丘」の2カ所。
1カ所目の「アレイからすこじま」は、呉基地の潜水艦桟橋近くにある海辺の公園で、日本で唯一、潜水艦を間近で見られる公園として知られています。港と夕日、船と夕日はもともと相性抜群。その船が潜水艦というのがユニークです。
ちなみに呉駅からのアクセスは、バスと徒歩で20分ほど。
もう1つのおすすめスポットは「歴史の見える丘」。呉の港を見下ろす小高い丘にあり、港や工業地帯など、呉が発展していった様子を見れるという意味で名付けられました。
丘の目の前には造船所があり、巨大なクレーンが並んでいます。クレーンの直線的な黒いシルエットと夕焼けに染まる空との組み合わせに、工業と自然、力強さと静けさの絶妙な調和を感じられるでしょう。
呉駅から「歴史の見える丘」へのアクセスはバスと徒歩で20分ほどです。
また、せっかく基地の街「呉」へ行くのであれば、食事は海軍カレーがおすすめです。潜水艦桟橋近くの「港町珈琲館」、呉市中心街の「呉ハイカラ食堂」など、呉市には海軍カレーが食べられる店がいくつもあります。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポット⑤
下灘駅(しもなだえき)
愛媛県伊予市にある下灘駅は、海の見える小さな無人駅。1本しかない短いホームに古びた屋根のついた、シンプルな駅です。
青春18きっぷのポスターや映画、ドラマのロケに使われたことで一般にも知られるようになりました。
この下灘駅も、瀬戸内海の美しい夕日・夕焼けが見れるおすすめのスポットです。
下灘駅へ行くには、松山駅から各駅停車で約60分。一両編成のディーゼル車からホームに降り立つと、海に向かってさえぎるものの無い風景が視界に広がります。なお、視界は北西を中心に180度近く広がり、2月から11月までは、山などにさえぎられずに夕日を見ることができます。
屋根の下にあるベンチから一面の海と夕日を見るもよし、少しさがって、ホームの屋根が入るように写真を撮るのもよいでしょう。
なお、下灘駅へ行く際は、知っておくとよいことがいくつかあります。
まず、鉄道の便が1、2時間に1本しかないので、事前に時刻表を確認しておくこと。日没前後に都合の良い列車があるかは時期によって異なります。
また、下灘駅周辺に商店や遊び場がない点にも注意が必要です。唯一の商店らしきものは、駅前にある曜日限定のコーヒースタンド「下灘珈琲」のみ。
1杯のコーヒーと海と夕日があれば十分楽しめる、そんな人に特におすすめの夕日・夕焼けスポットが下灘駅だといえるでしょう。
小さな無人駅と夕日の組み合わせは、一日の終わりの休憩や、新たな旅路への期待を象徴します。人生という旅路の中でひとときの休息を、下灘駅で過ごしてみるのもおすすめです。
瀬戸内海の夕日・夕焼けスポットへ行く際に事前に調べておきたいこと
瀬戸内海エリアで夕日と夕焼けを楽しむうえで、事前に調べておくとよい情報がいくつかあります。
まず、日没の時間と方角を調べておきましょう。一般的に夕焼けがきれいなのは日没前後それぞれ30分と言われています。特に空の色がきれいなのは日没後で、日没直後には美しいグラデーションが見られます。
また、日没の方角も調べておくのがおすすめです。日の入りの方角を地図上に表示するアプリを使用して、夕日が山に沈むのか海に沈むのかを確認しましょう。
夕日・夕焼けスポットへのアクセスを確認することも重要です。「日没を見る=帰りが暗い」ということなので、初めて行く場所であれば公共交通機関やタクシーを利用するのが安全でしょう。
できれば混雑状況を調べておくのもおすすめです。アクセスの悪いへんぴな場所でも、日没時には混雑することがあります。混雑を避けたい場合は、平日に行くのも方法です。
このほか、気温を含めた天気予報、トイレや食事のできる場所なども調べておくと、いざ現地へ行った際にもまごつきません。適切な下調べを行い、瀬戸内海の夕日・夕焼けを安全、快適に楽しみましょう。
Column:
ここからの夕日・夕焼けもおすすめ
「瀬戸内海で見れるおすすめの夕日・夕焼けスポット」というテーマからは少しズレますが、ここでは筆者が好きな夕日についてご紹介します。
1つ目は、列車の車窓から見る夕日です。ハイライトはすぐに通り過ぎてしまいますが、一瞬でありながら印象的なものがあります。
特に筆者の印象に残っているのは、JR予讃線(よさんせん)海岸寺駅(かいがんじえき)と詫間駅(たくまえき)の間にある見立海岸(みたちかいがん)。列車が海の水際ぎりぎりを通る場所です。直前まで高速で後ろに流れていた線路わきの風景がなくなり、海と空というほとんど動かない風景になるのが夕日の静かな印象を強調します。わずか25秒ながら心に残る風景でした。
もう1つは小さな港の夕日。瀬戸内海エリアには小さな漁港や渡し舟の船着き場が多くあり、美しい夕日を見れるところも少なくありません。
例えば岡山県瀬戸内市牛窓町(うしまどちょう)のフェリー乗り場は、「日本の夕陽百選」にも選ばれています。
そういった小さな港で、人影も少なく、夕方の柔らかな光が水面に映え、漁船や渡し舟が帰ってくるところは、生活感のある静けさを感じさせます。
まとめ
「瀬戸内海の夕日と夕焼けを楽しもう!おすすめのスポット5選」はいかがでしたか。
年間を通して穏やかな気候に恵まれ、適度な人工物も存在する瀬戸内海エリアは、美しい夕日や夕焼けを楽しむのにぴったりの場所です。
遠くにかすむ島の姿、きらめくさざなみ、ゆっくりと進む大型船、波に揺れる小舟、巨大なクレーンの力強いシルエット。沈む夕日はそれ自体が美しいものですが、海、島、人工物と組み合わさることによってより一層魅力が増します。
今回ご紹介した以外にも、瀬戸内海エリアにはまだまだたくさんの夕日・夕焼けスポットがあります。本特集を参考に、ぜひ、自分のお気に入りの夕日・夕焼けスポットを見つけてみてください。