瀬戸内海の島 一人旅のすすめ ~自然、文化、アートを満喫~
SPECIAL ARTICLE
はじめに
筆者はよく一人旅をしますが、島と一人旅は相性が良いと感じています。
特に、瀬戸内海の島への一人旅がおすすめです。瀬戸内海の島々には、個性豊かな魅力が詰まっており、一人旅ならではのくつろぎと自由を味わえます。
島の自然や独自の文化に触れることで、新たな気付きや心境の変化もあるでしょう。
本特集では、一人旅の行先としての瀬戸内海エリアに注目。筆者の体験も踏まえ、一人旅でぜひ行きたい、瀬戸内海にあるおすすめの島を5つご紹介します。
瀬戸内海エリアの基本情報・特徴
はじめに、瀬戸内海エリアの基本情報をご紹介します。
地理 |
瀬戸内海は本州西部、四国、九州に囲まれた、日本で最も大きな内海です。その大きさは東西およそ450km、南北15~55km。複雑な地形で、海岸線の長さは7,230km、島は700以上もあります。 |
---|---|
気候 |
瀬戸内海エリアの気候は、瀬戸内海式気候。温暖で雨が少なく、日照時間が長いのが特徴です。 |
産物 |
瀬戸内海エリアの畑では温暖な気候を生かして、かんきつ類やオリーブなどが栽培されています。また海産物では、タコ、タイ、ハマチ、カキなどが名産です。 |
アクセス |
瀬戸内海エリアへのアクセス方法には、新幹線、飛行機、高速バス、車などがあります。 |
ここでは東京からのアクセスを例に、新幹線と飛行機での所要時間をご紹介します。
新幹線でのアクセス(東京~瀬戸内海エリア)
東京から新幹線で行く場合、瀬戸内海エリアにある岡山、福山、広島などの駅を利用します。所要時間は岡山まで3時間15分、福山まで3時間30分程度。その先は在来線で近隣の都市、または四国側の都市へ行くのが一般的です。
飛行機でのアクセス(東京~瀬戸内海エリア)
瀬戸内海エリアの7県それぞれに空港があり、東京(羽田空港)から直行便が運航しています。東京(羽田空港)からの各空港までの所要時間は約1時間15分から1時間35分です。
瀬戸内海エリアの特徴
次に、瀬戸内海エリアの特徴をご紹介します。事前にエリアの特徴を知っておくことで、一人旅がより一層楽しめるでしょう。
瀬戸内海エリアの特徴①
おだやかな自然
瀬戸内海エリアはおだやかな自然が特徴です。温暖で風が弱く、波もおだやか。
海と島の風景は眺めているだけでもくつろげますし、フォトジェニックな場所も数多くあります。ドライブやサイクリングを楽しむのもよいでしょう。
ちなみに、瀬戸内海エリアの自然の良さは、見た目だけではありません。おだやかな海はシーカヤックなどのマリンアクティビティにも最適です。また、新鮮な魚介類やフルーツを味わい、自然の恵みを舌で感じることもできます。
おだやかな自然は、一人旅に瀬戸内海の島をおすすめする理由の1つです。
瀬戸内海エリアの特徴②
島の歴史と文化
瀬戸内海エリアには長い歴史と独自の文化があります。
この地域には古くから人々が住み、交易や漁業が盛んでした。また戦略的にも重要な場所であり、水軍の根拠地として栄えた場所です。その歴史は港町や海辺の建造物に息づいています。
一人旅でこの地域を訪れれば、古い町並みを散策したり、古い神社に参拝したりと、歴史的な遺産を楽しめます。ローカルで懐かしい雰囲気や、落ち着いた旅情も感じることができるでしょう。
瀬戸内海エリアの特徴③
アートで注目
近年、瀬戸内海エリアはアートで注目されています。
一人旅で島々を巡ると、現代アートの宝庫として知られるアートプロジェクトが目に飛び込んでくるでしょう。直島のベネッセアートサイトや、瀬戸内国際芸術祭期間中の各島などで、島全体がアートの舞台となっています。
島内に点在するアート作品は、風景との融合や独自のコンセプトによって訪れる人々を魅了します。一人旅で訪れれば自分のペースでアート作品を鑑賞でき、一人だからこその静かな感動を得られるはずです。
一人旅で行きたい瀬戸内海の島 おすすめ5選
ここからは、一人旅におすすめの瀬戸内海の島を5つご紹介します。
小豆島(しょうどしま)
アクセス |
|
---|---|
島の見どころ |
|
瀬戸内海東部にある小豆島(しょうどしま)は「間口の広い島」。
瀬戸内海で2番目に大きな島で、東西29km、南北15kmあります。温暖で雨の少ない気候を利用してオリーブの栽培が盛んです。
島が大きいだけに大きめの町もあり、今回ご紹介する5つの島の中では食事や買い物に1番便利。
見どころも多彩で、
- 寒霞渓(かんかけい)などの自然景観
- 中山千枚田(なかやませんまいだ)などの懐かしい風景
- 小豆島オリーブ公園などの比較的新しいスポット
と選択肢が豊富です。
また、小豆島は見るだけではなく、キャンプ、シーカヤックなどのアクティビティも楽しむことができます。オリーブの収穫など、小豆島ならではの体験も。
このように、小豆島は瀬戸内海の離島の中では便利で選択肢も豊富。離島一人旅の初心者にもおすすめです。見どころやアクティビティを組み合わせて、自分だけの自由な旅を楽しみましょう。
直島(なおしま)
アクセス | 宇野港から旅客船で20分 |
---|---|
島の見どころ |
|
岡山県と香川県の間にある直島(なおしま)は「アートの島」。その特徴は島の自然や生活空間の中にアートが共生していることです。
島の玄関口である宮浦港に到着すると、いきなり草間彌生氏のアート作品「赤かぼちゃ」が出迎えてくれます。港近くには建築家の藤本壮介氏による「直島パヴィリオン」も。
- 写真:草間彌生のアート作品「赤かぼちゃ」(著者撮影)
港から西の宮浦、東の本村という東西2つの集落へ移動すると、ここでは古い町並みの中に民家などを改装した作品が溶け込んでいます。
また、島の南部は、地中美術館やベネッセハウス、李禹煥美術館(リ・ウファンびじゅつかん)などがある美術館エリア。屋外作品もあるため、直島の山や瀬戸内海を背景にアート作品を楽しめます。
なお、これらのアート作品の多くは、「体験して感じてほしい」「作品をきっかけに何かを考えてほしい」といったコンセプトで制作されています。一人旅では、好きな作品に時間をかけて鑑賞するのがおすすめです。
生口島(いくちじま)
アクセス |
|
---|---|
島の見どころ |
|
しまなみ海道のほぼ中央に位置する生口島(いくちじま)は「レモンとアートの島」。
ブランドレモン「瀬戸田レモン」の産地です。また、平山郁夫美術館や耕三寺博物館やなど、アート関係の見所もあります。なかでも、一番人気は耕三寺博物館にある「未来心の丘(みらいしんのおか)」。青空を背景にして白大理石がまぶしいフォトスポットです。
- 写真:未来心の丘(著者撮影)
また、生口島はドライブやサイクリングにも人気の島。しまなみ海道を通って車や自転車で渡り、瀬戸内海の風景を満喫しながら走ることができます。
特に景色が良いのは、島の南西部にある通称「レモン谷」。しまなみ海道の橋の1つ、多々羅大橋のたもとにあり、橋と海とレモン畑の組み合わせが生口島らしいスポットです。
自転車で行く場合、ターミナルで乗り捨てできるレンタサイクルがあるのでぜひ利用しましょう。生口島の自転車ターミナルはバス停に近いので便利です。
生口島までは自転車で来ても、「時間が押しているからここからはバスで行こう」といった形で予定変更ができます。
レンタサイクルで移動し、必要に応じてバスに切り替えれば、臨機応変に旅したいという一人旅のニーズにぴったりです。
大三島(おおみしま)
アクセス |
|
---|---|
島の見どころ |
|
しまなみ海道のほぼ中央に位置する大三島(おおみしま)は「神の島」。古くは「御島(みしま)」と呼ばれていました。
島の見どころは大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)。奈良時代の記録にも残る由緒ある神社で、全国にある大山祇神社の総本社です。境内にあるクスノキは国の天然記念物で、パワースポットとして訪れる人も。
また、宝物館には国宝や重要文化財の武具が数多く収められています。これらは平安時代以降、数々の武将たちがこの神社に奉納してきた武具。
大山祇神社に祀られている大山積神(おおやまつみのかみ)は本来、山の神のはずですが、それが海の神、戦いの神としてもあがめられているのは、この地方の水軍が氏神として信仰したからだと言われています。
もう1つ、大三島を語る上で欠かせないのがサイクリング。サイクリストの聖地と呼ばれるしまなみ海道の中でも、大三島は特に人気のスポットです。
ちなみに、大三島にも乗り捨てできるレンタサイクルのターミナルがあるので、自転車とバスを組み合わせて臨機応変な旅ができます。
志々島(ししじま)
アクセス |
宮の下港から定期船で20分
|
---|---|
島の見どころ | 巨木の生命力に癒やされる「志々島の大楠」 |
香川県三豊市の沖にある志々島(ししじま)は「巨木の島」。推定樹齢1200年の巨木に見守られた小さな秘境です。
島の周囲は3.8km、人口は17人。コンビニエンスストアや自動販売機はありません。トイレも港近くの1カ所だけ。船便は1日に3往復しかありません。
小さな港から集落の路地を抜け、急傾斜の山道を20分ほど歩くと、島のシンボル「志々島の大楠」が見えてきます。その特徴は大きく枝を広げた姿。
「志々島の大楠の特長は、1400cmもの太さと、地上すぐの高さから、両手を横に大きく広げたように左右に伸びた、幹のように太い枝を擁する特異な樹形にあります。」
- 「巨樹コラム:環境省」から引用
枝の広がりは、中央の幹から東へ25m、北へ26mと全国でも有数です。
筆者はこの木の全体を何とか写真に収めようとしましたが、収まりませんでした。東へ伸びた大枝は折れて地面についていますが、この折れた枝も生き続け、今でも若葉を付けています。生命力の強い木なのです。
- 写真:志々島の大楠(著者撮影)
大楠に見守られたこの小さな秘境は、不便だからこそ特別感があります。一人静かに巨木と向き合えば、自然の力を一層強く感じられるでしょう。
まとめ
「瀬戸内海の島 一人旅のすすめ ~自然、文化、アートを満喫~」はいかがでしたか。
瀬戸内海エリアには、おだやかな気候のなかに個性的な島がたくさんあり、リラックスするにも趣味を追求するにも一人旅におすすめです。
それぞれの島は日帰りか1泊2日で楽しめる大きさなので、気楽に日帰りで訪れるもよし、複数の島を組み合わせて何泊かするのもよいでしょう。
本記事を参考に、ぜひ実際に島を訪れ、瀬戸内海の島での一人旅を楽しんでみてください。