香川県一人旅のススメ ~食べて遊んで癒されて~(前編)
SPECIAL ARTICLE
はじめに
突然ですが、「一人旅」はお好きですか。
「旅は断然一人旅!」という方がいる一方で、「一人旅には憧れるけど、なかなかチャレンジできない…」など、はじめの一歩を踏み出せない方もいるでしょう。
家族や友人との旅行ももちろん楽しいものですが、旅行へ行くにはまず、みんなでスケジュールを合わせなければなりません。泊まる場所や行きたいところ、食べたいものなど、自分のことだけでなく、一緒に行く人のリクエストに応える必要もあります。
その点、一人旅であれば、自分の好きなときにふらりと出かけられます。また、自由きままに自分の好きなことをぎゅっと詰め込めるのも一人旅の大きな魅力。話し相手がいない分、旅の様々な出来事をいつもより深く体験できることもあるでしょう。
かくいう筆者も「旅は断然一人旅派」。現に気が向いたときに、ぱっと一人旅に出かけることもしばしばです。
そこで本特集では、筆者の実体験も踏まえて選んだ一人旅におすすめの旅先として「香川県」をご紹介します。
「香川県?うどん以外よく知らない」という方にこそ、ぜひおすすめしたいのが香川県。その魅力はうどんだけではありません。
一人旅経験者の方も、一人旅初心者の方にも、香川県には食べて遊んで癒されるスポットが満載です!
一人旅に「香川県」をおすすめする3つの理由
はじめに、筆者が一人旅の旅行先として「香川県」をおすすめする理由をご紹介します。
①良い意味で期待を裏切られる
「香川県」というと「うどん」のイメージしかなかった筆者。もちろんうどんも、今まで筆者が食べてきたうどんとはレベルの違うおいしさでしたが、香川県の魅力はそれだけではありません。
昔ながらの商店街にさりげなくおしゃれなお店があったり、住宅街に突如として壮大な美術館が現れたりと、その「センスの良さ」に驚くことが多々ありました。良い意味で期待を裏切られながらの街歩きは、一人でも飽きることがありません。
②エモーショナルな場所が多い
香川県には、日本のウユニ塩湖といわれる「父母ヶ浜(ちちぶがはま)」や、外国に来たかのような「一の宮公園」のサンセット、幻想的な絶景写真が撮影できる「高屋神社(たかやじんじゃ)」の天空の鳥居など、エモーショナルな絶景スポットが数多くあります。
ただ、絶景スポットもさることながら、街中でもはっとする風景に出会えるのが香川県の魅力。
筆者は、街の橋から見た瀬戸内海の燃えるような夕陽の美しさに、思わず足を止めたことがありました。自分が心ゆくまで感動に浸っていられるのも、香川県で一人旅をする醍醐味です。
③「食べる・遊ぶ・癒される」をバランスよく満喫できる
香川県には「食べる・遊ぶ・癒される」を満喫できるスポットが数多くあるため、歴史、美術館・アート、パワースポット巡りなど目的別に旅の設定ができます。また、高松市周辺、香川県東部・中部・西部・小豆島など土地別に一人旅をするのも良いでしょう。
日帰りの場合でも、栗林公園や金刀比羅宮(こんぴらさん)など、王道の観光スポットをおさえておけば十分に楽しめます。
複数泊する場合は、「今日は高松市周辺でうどん屋さんを回り、明日は小豆島でパワースポット巡りをしよう」と、自分好みに旅をアレンジすることも可能です。
香川県の基本情報・特徴
次に、より一人旅を楽しめるよう、事前に知っておきたい香川県の基本情報や特徴をご紹介します。
地勢
香川県は四国の東北部に位置し、南部には讃岐山脈が、北部には讃岐平野が展開しています。半月型の地形で、北は瀬戸内海をはさんで瀬戸大橋で岡山県と結ばれており、東および南は徳島県に、西は愛媛県に接しています。
また、面積が全国で最も小さい(1,876.92平方km)のも特徴です。
人口
香川県の推計人口は、令和5年4月1日現在で926,866人。一番人口が多いのは高松市の411,006人で、一番人口が少ないのは直島町の2,991人となっています。
気候
香川県は瀬戸内式気候に属し、高松市の年間平均気温の平均値は16.7℃と温かい気候です。また、1年を通して雨が少なく晴れの日が多いため、他の地域と比べて日照時間が長いのも特徴です。温暖で過ごしやすい日が多い土地だと言えるでしょう。
産業
香川県の主な産業は、石油製品・石炭製品、食料品、非鉄金属。具体的には、ピッチコークス、衣服用革手袋、スポーツ用革手袋などの出荷額が全国で1位となっています。
なお、香川県で手袋産業が盛んになったのは、僧侶の駆け落ちがきっかけだったとか。豆知識として覚えておくと面白いかもしれません。
歴史
源平合戦で源氏側の那須与一が、平家の扇を見事に射ち落したと言われる「扇の的」伝説。その舞台となったのが、香川県の屋島です。
また、平安時代初期の高名な僧侶であり、四国八十八ヶ所を創設した空海や、エレキテルで有名な江戸時代の発明家・平賀源内といった歴史上の人物を生み出したことでも知られています。
香川県への行き方 ― 新幹線か飛行機か ―
一人旅において意外と悩むことの1つが、目的地までの「交通手段」ではないでしょうか。特に長距離移動の場合、楽に移動できる快適さは外せない要素の1つ。かといって、交通費で旅の予算を圧迫するのも避けたいところです。
香川県へは、新幹線、飛行機、車、バスという色々な交通手段がありますが、ここでは「香川・高松⇔東京間」を例として、メジャーな選択肢である新幹線と飛行機を比較します。
飛行機で香川県へ行く場合
飛行機を利用して香川県へ行く場合は、成田空港または羽田空港から高松空港へと向かいます。高松空港からは、リムジンバスを利用し、高松駅で下車しましょう。
料金(税込) | 時間(空港~高松駅) |
---|---|
①ジェットスター:4,990円(片道)~(成田空港発) | 1時間35分 |
②JAL:14,000円程度 【往復】~(羽田空港発) | 1時間20分 |
③ANA:15,000円程度 【往復】~(羽田空港発) | 1時間20分 |
+リムジンバス:1,000円(片道) | +50分 |
合計【往復】 | 合計(片道) |
成田空港発:12,000円程度(①) | 2時間25分 |
羽田空港発:16,000円~17,000円程度(②③) | 2時間10分 |
新幹線で香川県へ行く場合
新幹線を利用して香川県へ行く場合は、まず東京駅から岡山駅へ向かい、岡山駅でJR快速マリンライナーに乗り換えます。
料金(税込) | (東京駅~高松駅) |
---|---|
新幹線:33,400円 【往復】(※指定席・往復割引使用) | 3時間17分 |
+マリンライナー:1,660円(片道) | +53分 |
合計【往復】 | 合計(片道) |
36,720円 | 4時間10分 |
飛行機 vs 新幹線
上記の表を見ると、移動時間が短く、安い料金で利用できるのは飛行機です。そのため、費用の面でも時間の面でも、効率良く一人旅をしたい場合は、飛行機を利用するのがおすすめ。
一方で、新幹線はゆったりとした「旅時間」を楽しめるのが利点。また、JR快速のマリンライナーは、岡山から香川県へと向かう際に瀬戸大橋を通ります。
このとき瀬戸大橋から見える瀬戸内海とその島々の風景は、見飽きることがない美しさ。ぜひ一度はご覧いただくことをおすすめします。
なお、飛行機や新幹線には、それぞれ早割や往復割引、ホテルなどの宿泊先とセットにするとお得になるプラン等があります。
香川県へ一人旅に行く際は、ぜひ自分にとってベストな交通手段を調べてみてください!
香川県での一人旅におすすめのグルメ
旅で絶対に妥協できないもの。その1つが「グルメ」です。特にアクティブに動く旅では、お腹も空いて当然。その土地でしか味わえないおいしいご飯やスイーツを食べれば、一人旅の充実度もより高まります。
この章では、「香川県での一人旅におすすめのグルメ」を5つ、厳選してご紹介します!
①うどん
香川県ではずせないグルメと言えば、やはり「うどん」です。強いコシと、つるっとしたのど越しの良さで、するすると食べれてしまう讃岐うどん。シンプルだけれど、体に染みわたるいりこ(煮干し)の出汁が相まって、1杯食べ終わっても、もう1杯食べたくなってしまうから不思議です。
香川県のうどんの歴史は深く、空海がうどん作りに適した小麦と、正麺の技術を唐から持ち帰ったという伝説があります。
また、降雨量が少ない香川県では、沢山の水を必要とする米作りにはあまり適さず、古くから「小麦」の栽培が多く行われていたそう。加えて、海が近く、雨が少ない気候により、うどんの材料である「塩」製造も行われていたため、香川県でうどん作りが盛んになったと言われています。
気軽に食べられるうどんは、一人旅に最適!食事と言わず、小腹が空いたときの「間食」にもおすすめです。
②骨付鳥(ほねつきどり)
骨付鳥は、香川県丸亀市発祥のご当地グルメ。骨付きの鶏もも肉を、にんにくのきいたスパイスで味付けし、オーブン釜などでこんがりと焼き上げます。一口食べると、皮はパリパリで、身はジューシー。スパイスが脳を刺激するような衝撃的なおいしさに、思わず「おいしい!」とうなること間違いなしです。
ちなみに骨付鳥には、「おや(親鳥)」と「わか(ひな鳥)」の2種類があります。親鳥は噛み応えがあり味わい深く、ひな鳥はふっくらと柔らかい肉質で子どもでも食べやすいのが特徴です。
骨付鳥は人気のお店が多いため、前もってお店の予約をしておくのがおすすめ。一人では入りにくい場合でも、予約をしておくことでお店に入りやすくなるメリットもあります。
③クラフトビール
ビール好きの方であれば、香川県のクラフトビールはいかがでしょうか。数は多くありませんが、香川県にもビールを醸造するマイクロブルワリーがあり、パブを併設しているところもあります。
筆者は、旅に出ると必ずその土地のクラフトビールを飲むようにしています。というのも、クラフトビールにはその土地の食材を使用していたり、文化を反映していたりと、その土地の特色をよく表しているからです。実際、旅先ごとにクラフトビールの個性が違うのも面白いところです。
特に香川県のクラフトビールは、地元の特産品である柑橘などを使用しているのが特徴。さわやかだけれど存在感があり、飲みごたえのあるその味は、記憶に残るおいしさです。
④おいり
おいりは、直径1cmほどの玉状のお菓子で、香川県の西讃岐地方や、愛媛県東部に伝わる伝統的なお菓子です。
桃・緑・青・橙・白などのカラフルな色がなんともかわいらしいこのお菓子は、初代丸亀藩主の姫君がお輿入れする際の献上品だったとか。現代でもお土産品として販売されているほか、結婚式の引き出物や、出産祝いなどでも渡される縁起の良いお菓子です。
おいりを1粒口に入れると、ぱぁっと粒が弾けて、優しい甘さが一瞬で口に広がります。お土産にも最適ですが、旅のお供にバッグに忍ばせておくのもおすすめです。持ち歩いても軽く、一人でもあっという間に食べられます。
⑤あんもち雑煮
あんもち雑煮は、香川県のお正月に食べられる郷土料理です。煮干しで取っただし汁に、あん入りの丸餅、大根、金時人参、豆腐などを入れ、白味噌仕立てでいただきます。
江戸時代、当時讃岐国だった香川県は、「砂糖」の製造が盛んだったそう。ただ、製糖地帯であっても、「砂糖」は幕府に献上する高級品。庶民の口にはめったに入りません。そのため、お正月くらいは甘いものを食べたいという思いから、丸餅の中に甘いあんこを入れた雑煮を食べ始めたと言われています。
一人旅をする際は、ぜひその土地の郷土料理を食べたいもの。
ただ、「お雑煮にあんこは合うの…?」と疑問に思うかもしれません。ですが、一口食べればそうした疑問は吹き飛びます。味噌の塩気とあんこの甘みの見事なコラボレーションに、思わずにっこりしてしまうはず。
ちなみに、あんもち雑煮は、喫茶店やカフェなどで食べられます。休憩がてら、あんもち雑煮を食べれば、一人旅を元気に続けられるでしょう。
まとめ
「香川県一人旅のススメ~食べて遊んで癒されて~」の【前編】はいかがでしたか。
本特集では、香川県での一人旅がおすすめの理由や、香川県の基本情報・特徴など、事前に知っておくと良い情報と、旅の醍醐味である「グルメ」情報をお届けしました。
香川県について「うどん」のイメージが強かった方も、一人旅の候補地に香川県が入っていなかった方も、興味を持っていただけたのではないでしょうか。
筆者の体験として、香川県はこれまでに感じたことのない新しさがある一方で、どこか郷愁を誘うような懐かしさもある土地です。
まぶしいほどの光で朝を迎え、燃えるような夕陽で一日を締めくくる瀬戸内海の美しさがそう思わせているのかしれません。だからこそ香川県で一人旅をしていても、ずっと飽きることがないのでしょう。
「香川県一人旅のススメ~食べて遊んで癒されて~」の【後編】では、おすすめの観光スポット・レジャースポットや、癒しスポットを中心にご紹介する予定です。
ぜひチェックしてみてください!