住宅の購入は人生最大の買い物です。多くの場合、数千万円のお金が必要になるわけですから、現金で買える方はほとんどいません。 そこで必要になるのが住宅ローンです。
ただ、この住宅ローンというものは曲者です。住宅ローンには、銀行、民間、公庫等から多種多様な商品が出ていますが、どの住宅ローンを選んだかによって総返済額が数百万円単位で変動することも珍しくありません。
大げさに言えば、住宅ローンの組み方一つで人生設計が大きく変わってくるのです。だからこそ住宅ローン選びには妥協せず、自分のライフスタイルに合ったものを正しく選択しましょう。
2008年10月に端を発した世界同時不況は住宅市場も例外ではなく、2008年10月~2009年4月までの間、住宅ローンは歴史的な低金利で推移、しかしながらここにきて世界経済の各指標が少しずつ下げ止まってきていることから、金利に下げ止まり感が出てきました。
実はこれまでの歴史を見ると、住宅ローン金利は景気の回復に先行して上昇に転じているのです。
米国発の不況はまだ収束したわけではないため、現在は日本の金利も停滞していますが、問題の解決に目処が立てば、今後も金利は緩やかな上昇を続けると考えられます。住宅購入を考えている方は金利の動向から目を離さないようにしましょう。
住宅ローンは大別すると変動金利、固定金利、固定金利選択型の3つのタイプがあります。
メリット
デメリット
メリット
デメリット
メリット
デメリット
メリット
デメリット
住宅ローンは上記の3タイプの中から選ぶことになります。各タイプの特徴、メリット、デメリットをしっかり憶えておきましょう。
それでは次は住宅ローン選びの基本について説明していきます。
住宅ローンは基本的には長い年月をかけて返済していくものですから、しっかりとした返済計画が立てられる長期固定で借り入れることが基本です。また、金利上昇局面では変動金利のリスクが高まるため、なおさら長期固定での借り入れを検討したほうが良いでしょう。
日本はゼロ金利政策が長く続いたため超低金利に慣れていますが、現在米国の金利は約4%、欧州も3.5%となっています。つまり、日本の景気が良くなれば金利が上昇する可能性が高いということを忘れてはいけません。
ただし、住宅ローンを短期間で返済できるのであれば、金利変動のリスクを抑えられるため、変動金利や固定金利選択型にも大きなアドバンテージがあります。もし、繰上げ返済を活用し10程度の期間で住宅ローンを全額返済できるようであれば、変動金利型や固定金利選択型を選択肢として考えてみるのも良いでしょう。
チャプター1では住宅ローンの基礎について解説いたしました。今チャプターでは、現在住宅ローンを現在検討されている方、これから検討される方を対象に、知らないと損する住宅ローンの常識についてご説明していきます。
住宅ローンは、借り入れの仕方一つで生涯の返済額が数百万円単位で変わってくる、人生最大の買い物です。あなたの、そして家族みんなの将来を左右する可能性があるものですから、住宅ローン選びに妥協は許されません。
これからご説明する住宅ローン選びに役立つ6つの常識を最低限憶えておきましょう。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)や銀行等が用意している住宅ローン商品に違いがあることは当然ですが、同じ住宅ローン商品でも金融機関毎に金利や手数料に差があることをみなさんはご存知でしょうか?
その代表的なものが公庫と民間金融機関が提携して融資を行うフラット35です。
下表はフラット35を取り扱う代表的な金融機関の金利と事務手数料と、利用者からの評価が高い住信SBIネット銀行とSBI新生銀行、自営業者、契約社員、派遣社員向けの住宅ローンの代表格である東京スター銀行の住宅ローン金利をまとめたものです。
金融機関 | 主な金利 | 事務手数料 |
---|---|---|
住信SBIネット銀行 住宅ローン |
|
2.2%(税込) |
SBI新生銀行 住宅ローン |
|
55,000円(税込) |
ARUHI フラット35 |
|
2.2%(税込) |
楽天銀行 フラット35 |
|
0.99~1.43%(税込) |
りそな銀行 フラット35 |
|
33,000円(税込) |
この表を見ると同じフラット35でも金利と事務手数料が金融機関ごとに異なる事がよくわかります。
例え同じ住宅ローン商品を借り入れる場合でも金融機関によって金利や手数料が異なることを憶えておきましょう。
住宅ローンの金利は一般的には毎月月初に変更されます。しかし、7月1日の金利が3.25%と発表されたからといって、7月に申し込んだ人全てにこの金利が適用される訳ではありません。
住宅ローン金利の多くは、融資実行月のものを適用するようになっているため、7月に申し込んでも8月に融資が実行されれば8月の金利が適用されることになるのです。
フラット35などの長期固定型住宅ローンを借り入れている場合、返済が終わるまで金利は変わりませんが、変動金利や短期固定型の住宅ローンの場合、景気の状況に応じて金利が変わります。金利低下局面では住宅ローンの返済額が減少しますが、金利上昇局面では返済額が増加してしまいます。
今後は金利が上昇する可能性が高いため、長期固定型の住宅ローンを視野に入れておいたほうが良いでしょう。
住宅ローンを借り入れる場合、物件には抵当権が設定され、住宅ローンの返済ができなくなると物件の所有権は金融機関に移ります。ただ、物件は住居年数により価値が落ちていくため、金融機関は物件を売却したとしても残っている融資を回収できない可能性がでてきます。
そのリスクを減らすために金融機関では物件取得価格の全額を融資することはせず、最大でも80%が上限になっています。つまり、住宅ローンを借り入れる場合、物件価格の20%は現金が必要になるのです。※フラット35は物件価格の90%まで融資可能
住宅ローンを借り入れるには、金融機関が行う審査を通過しなければいけません。
住宅ローンは金融機関にとっても融資額が大きいリスク商品になるため、審査は慎重に行われます。
住宅ローン審査のポイントには以下のとおりです。
住宅ローン審査のポイント | |
---|---|
現在の収入 | 安定収入があるかどうか?また、金融機関が定めた最低年収に達しているかどうかもチェックされます。 |
職業(勤務先) | 職業や勤務先の業績等を確認します。職業、勤務先によっては金融機関からの融資が難しい場合があります。また、民間企業に比べ自営の場合、更に融資条件が厳しくなります。 |
勤続年数 | 勤続年数の長さを確認します。勤続年数が短い場合はリスクが高いと判断され融資が難しい場合もあります。 |
現在、過去のローン状況 | カードローンや車のローンなど、住宅ローン以外のローンの状況をチェックします。過去支払いの遅延がある場合や、現在のローン残高が多い場合、融資が難しい場合があります。 |
金融機関との取引状況 ※銀行の場合 |
銀行の住宅ローンの場合、その銀行への預金残高や給与振込み口座への設定の有無等を確認される場合があります。融資実行の条件として一定の預金や給与振込み口座への設定を依頼される場合もあります。 |
住宅ローンの審査は銀行等の民間金融機関が行う場合、条件が厳しく、公的な融資となる住宅金融支援機構と民間の提携融資となるフラット35等の場合、比較的融資が受けやすいと言われています。
また、住宅ローンの中には東京スター銀行のスターワン住宅ローンのように自営業者や転職したばかりの人、派遣や契約社員にも融資を行ってくれるものもあります。
住宅取得は頭金を支払い、住宅ローンを組めば終わりという訳ではありません。住宅ローンを組む際は、各種諸経費が発生します。また、住宅取得後もマンションの場合、管理費や修繕積立金、駐車場代等の費用がかかる他、固定資産税や都市計画税等を毎年支払わなければいけません。
返済計画を立てる際は住宅ローンの返済額だけを考えるのではなく、これらの費用についても十分考慮しておきましょう。
知らないと損する住宅ローン6つの常識、いかがでしたでしょうか。
「住宅ローンを組むのは想像以上に大変そうだな~」と、思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
住宅購入は多くの方にとって人生最大の買い物であり、夢です。その夢を手に入れる訳ですから多少の苦労があるのは当然です。
住宅購入前に住宅ローンのことをしっかりと勉強しておくことが、夢を現実にする第一歩と言えるでしょう。
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※2020年10月12日時点
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