米国株取引に強い証券会社の選び方とは?取扱い銘柄数や取引手数料を比較
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はじめに
米国株式市場は長期上昇トレンドにあり、GAFAM※のような世界をリードする巨大企業に投資ができる魅力的なマーケット。また、日本株とは異なり、1株から買える取引システムや、年4回配当が得られる企業が多い点も人気の理由でしょう。
2022年はインフレに対する金融政策の影響もあり、株価は調整局面が続いていますが、長期的には有望と考え、米国株の購入を検討されている方も多いはず。
そこでまず必要になるのが、米国株取引ができる証券会社です。ただ米国株が取引きできる証券会社と言っても、どの証券会社がよいのかわからず、二の足を踏んでいる方も多いはず。
そこで米国株取引経験のある筆者が、米国株取引に強い証券会社の選び方をわかりやすく解説します。数ある証券会社の中からおすすめの証券会社も紹介しているので、本記事を参考に、自分に合った証券会社を見つけましょう!
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米国株取引に強い証券会社の選び方とは?
米国株取引に強い証券会社は、どのような基準で選べば良いのでしょうか。証券会社を比較する前に、米国株取引をおこなう際、知っておきたいポイントを解説します。
① 取り扱い銘柄数が多い
証券会社の間で差が大きいのが「取り扱い銘柄数」。具体的な比較は後述しますが、証券会社によってその差は1000銘柄以上にもなります。銘柄数が多ければ、当然投資の選択肢が増えます。どのような銘柄に投資をするかが決まっていない方や、大型株からスタートし、ゆくゆくは小型株にも幅広く投資したいと考えている方は、必ずチェックしましょう。
② 手数料が低い
米国株を売買する際、かかるコストが「取引手数料」と「為替手数料」。この手数料はできるだけ低く抑えたいもの。対面型の証券会社と比較すると、手数料が低く設定されているネット証券会社がおすすめです。取引手数料や為替手数料も利益にも関わる重要なポイントになるため、後で詳しく解説します。
取引手数料
米国株を売買するたびにかかる手数料。ネット証券では約定代金の0.495%(税込)としていることが一般的。なかには上限額が設定されている証券会社もあります。取引手数料を抑えたい方は、売買する回数を減らし、できるだけ一度に多く買付をおこない、長期保有を心がけるとよいでしょう。
取引手数料の例
約定代金あたり0.495%のネット証券で、50ドルの株を10株購入。60ドルに上昇した為、全て売却した場合…
- 購入時手数料50×10×0.495%=2.475ドル
- 売却時手数料60×10×0.495%=2.97ドル
為替手数料
円と米ドルを交換する際に発生する手数料。米国株は米ドルで購入(外貨決済)するのがおすすめ。円で米国株を購入(円貨決済)することもできますが、証券会社が代行して米国株を売買する際米国株の売買の度に取引為替手数料が発生してしまうことに。一方、外貨決済では、米ドルで売買するため、為替手数料は通貨交換の時しか発生しません。為替手数料をできるだけ低く抑えたい方は、米ドルで購入するようにしましょう。
③ 分析ツールや注文方法が充実している
ネット証券では、インターネットやアプリを使い自分で株の売買をおこないます。これから米国株取引に挑戦する方は、銘柄選びや注文タイミングに悩むことも。そういう場合は企業分析情報や株価分析ツールが充実した証券会社を選ぶと良いでしょう。これらのツールを使いこなせば、分析や注文にかかる時間を短縮することができます。
米国株に投資する際のポイントを踏まえ、証券会社ごとの比較をしていきましょう。
米国株取引に強い証券会社を比較
比較対象は、手数料が安い国内のネット証券を厳選。特に、米国株取引に強いといわれるSBI証券、マネックス証券、DMM.com証券(以下、DMM株)の3社を取り上げ、比較します。
取り扱い銘柄数 | 取引手数料 | 為替手数料 | 分析ツール | 注文方法 | |
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SBI証券 |
個別5201 ETF348 |
約定代金の0.495%(税込) 最大22米ドル(税込) |
片道25銭/米ドル *住信SBI銀行との連携で外貨預金6銭/米ドル、外貨積立3銭/米ドル |
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マネックス証券 |
個別4565 ETF355 |
約定代金の0.495%(税込) 最大22米ドル(税込) |
買付時0円* 売却時25銭/米ドル *定期見直し:次回は2022年12月を予定 |
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DMM株 |
個別2118 ETF245 |
0円 |
片道25銭/ドル *円貨決済のみ |
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PICKUP!
SBI証券
外国株式取引口座は300万口座を突破し、みんなの株式2021年ネット証券ランキング7年連続1位を獲得している人気の証券会社。大型株から小型株まで5,000社を超える取扱い銘柄数と為替手数料の安さはネット証券の中でもトップクラス。
取り扱い銘柄数
米国株の個別銘柄の取り扱い数は、比較した3社間でも最も多い5,201銘柄。初心者にも人気のETF(上場投資信託)は348銘柄(2022年9月19日時点)と充実している。
米国株に幅広く分散投資されたい方におすすめの証券会社。
取引手数料
取引手数料は約定代金の0.495%(税込)。最低手数料は0円*、手数料の上限は22米ドル(税込)と業界最低水準に設定(*約定代金が2.02米ドル以下の取引に限る。)
また「SBI ETFセレクション」と呼ばれるサービスを利用することで、長期資産形成の王道ともいえる米国ETFの買付手数料が無料に。SBI ETFセレクションには、人気の10銘柄(VT、VTI、VOO、QQQ、SPYD、VGT、EPI、AGG、GLDM、IVR)を選定(2022年6月1日時点)しています。人気のETFを手数料0円で購入できる点は大きな魅力的。
為替手数料
為替手数料は、1米ドルにつき片道(円から米ドル、または米ドルから円に交換)につき、25銭。しかし、住信SBIネット銀行の外貨預金を利用した場合は、1米ドルにつき6銭、外貨積立を利用した場合、1米ドルにつき3銭に。業界最安の手数料で、通貨交換をおこなうことが可能。(2022年7月25日時点)円貨決済にも対応しているので、通貨交換に手間をかけたくない方も要チェック。
分析ツール
米国株アプリ経由で、スマホから簡単に米国株取引をおこなうことができる。米国株投資に役立つマーケットニュースや決算速報を日本語で配信。見やすい画面がチャート分析をサポートしてくれる。
注文方法
注文方法は成行、指値、逆指値の利用が可能。初心者にとってはこの3つの注文を扱うことができれば十分。また、自動的にドルコスト平均法による長期投資ができる米国株やETFの「定期買付サービス」も用意。買付のタイミングは「日付」「曜日」「ボーナス月」から自由に設定。「株数指定/金額指定」「外貨決済/円貨決済」の細かな組み合わせができる点もSBI証券の強み。長期投資を検討している方は要チェック。
PICKUP!
マネックス証券
総口座数が216万口座(2022年7月時点)を突破した大手ネット証券。米国株の銘柄数が多く、独自の分析ツール「銘柄スカウター」を使うことで、分析が苦手な方も簡単に投資対象企業を分析できる。初心者から上級者まで、米国株投資家から高い評価を獲得している証券会社の1つ。
取り扱い銘柄数
米国株の取り扱い銘柄数は4,565銘柄。ETFは355銘柄(2022年9月25日時点)。米国株を取り扱うネット証券の中でも取引できる銘柄数はトップクラス。SBI証券と同様に、大型株から小型株までカバーしているので、幅広い銘柄の中から投資する米国株を選びたい方におすすめの証券会社。
取引手数料
取引手数料は約定代金の0.495%、最低手数料は0円*、最大22米ドル。(*約定代金が2.02米ドル以下の取引に限る。)と業界最低水準に設定。
また、指定の米国ETFの買付手数料をキャッシュバックする「米国ETF買い放題プログラム」を提供している。プログラムの対象は13銘柄(VTI、VOO、VT、VWO、QQQ、SPYD、HDV、QYLD、LIT、BUG、DRIV、PFFD、XYLD)。人気の銘柄だけでなく、成長産業に投資するテーマ型のETFが対象になっているのはマネックス証券ならでは。マネックス証券では、ETFの配当を自動再投資してくれるプランも。複利効果を狙いETFの積立投資をしたい方におすすめ。
為替手数料
キャンペーン期間中は外貨決済でも円貨決済でも、買付時の為替手数料0円。ただし売却時は、1米ドルあたり25銭の手数料が発生する。キャンペーンは、為替の変動を考慮し、定期的な見直し*がされてはいるものの、2019年7月にはじまったキャンペーンを現在も継続中(*次回見直しは2022年12月を予定)定期的にホームページなどで情報をチェックする必要はあるが片道だけでも為替手数料を抑えることができる点は大きな魅力。
分析ツール
米国株アプリやチャート分析ツールに加え、マネックス証券の口座開設者が無料で利用できる「マネックス銘柄スカウター」がおすすめ。過去10年以上の長期業績やPER、PBR、配当利回りといった株価指標をグラフ化。投資において、企業の財務情報は欠かせない要素の1つ。企業分析が苦手な方や、より詳しく分析したい方にもおすすめの分析ツール。
注文方法
指値、成行、逆指値だけでなく、「トレールストップ」や「連続注文」「OCO注文」等、高度な条件付き注文を利用可能。条件付き注文は細かく利益確定、損切りの設定ができるので、アクティブトレーダーにも人気のツール。自分の投資スタイルにあった注文方法が選べる点も評価できる。
PICKUP!
DMM株
DMM.com証券が運営するDMM株は、2018年から米国株の取り扱いを開始した比較的新しいネット証券。日本株と米国株のトレードに特化し、取り扱い商品は限られるものの、取引コストの安さは業界最安水準。取引ツールやアプリの使いやすさにも定評がある。
取り扱い銘柄数
米国株の取り扱い銘柄数は2,118銘柄。ETFは245銘柄(2022年9月22日時点)とSBI証券やマネックス証券と比べると限定的。日本株や米国株のみ取り扱い、投資信託や他の国の投資商品の取り扱いはない。米国の有名企業や、DMM株が厳選した米国株取引に特化した証券会社といえる。
取引手数料
取引手数料は破格の0円。この手数料の安さは他のネット証券にはない大きな魅力。特に売買を頻回に行うのであれば、取引手数料がかからないDMM株がおすすめ。
為替手数料
為替手数料は売買ごとに1米ドルあたり25銭。円貨決済のみに対応している。自分で円から米ドルに交換する手間はないが、米国株を売買するたびに為替手数料が発生する。証券会社が代わりに米ドルに交換してくれているため気づきにくいが、売買のたびに為替手数料がかかっている点には注意が必要。
分析ツール
DMM株では、初心者からプロまで様々な投資スタイルにあった取引ツールを用意。「DMM株 STANDARD」やスマホアプリの「かんたんモード」は、難しい用語がなく操作もシンプルで初心者でも使いやすい。レベルが上がってきたら「ノーマルモード」に切り替えることも可能。「DMM株 PRO+」は頻繁にチャート分析や売買を行う上級者向け。様々なレベルの投資家が活用できるツールといえる。
注文方法
成行、指値、逆指値、OCOで注文可能。「DMM株 PRO+」を使えば、さらに多機能な注文も。DMM株 PRO+だけの機能が「IFDーOCO」。新規注文時に、利益確定と損切りの注文を同時に発注することができる機能で、株価を頻回にチェックできない方や、細かく損益を管理したい方におすすめ。
米国株取引経験者がおすすめする証券会社は?
これから米国株投資をはじめたい方には、SBI証券がおすすめです。
銘柄数が多い点はもちろん、一番のポイントは手数料の安さ。手数料は投資成績にも直接影響を与えるため、できるだけ低く抑えたいものです。SBI証券の取引手数料は、業界最安水準に設定しており、上限は22ドル。約定代金が約4,444ドル以上で、22ドルの固定手数料になるため、取引金額が大きいほど割安感がアップします。人気のETFの買付手数料が無料である点も大きな魅力です。米国株をコツコツつみ立て投資したい方にとっても、最適な証券会社の1つでしょう。為替手数料は、住信SBIネット銀行の外貨積立サービスを利用すれば、1米ドルあたり3銭の為替手数料に。積立と言いつつ1回だけの外貨交換でも利用できます。
外貨決済は米国株取引をおこなう方が是非利用したいサービス。証券会社選びに迷ったら、まずはSBI証券に口座開設をしてみてはいかがでしょうか。