生命保険の見直し
4. ネット保険に注目 ~ネット生命保険VS大手生命保険 生命保険比較~
保険見直し口座 no.2
Chapter1 ネット保険に注目
生命保険は、万一の時に家族を守ってくれる大切な備えです。しかし、あくまで“いざという時のもの”であることを考えると、「毎月支払う保険料があまり高いものは困る」というのも事実です。
また、最近の節約志向を受け、生命保険についても必要な保障を吟味し、安くてムダのない商品を選ぼうとする動きが高まっています。
そこで、今、注目を集めているのが、主な販売経路をインターネットにしぼることで大幅に安い保険料を実現した「ネット保険」です。
生命保険、医療保険、自動車保険と各種の商品がそろうネット保険ですが、なかでも主な販売経路をインターネットにしぼった生命保険は、従来型の生命保険と比較すると保障内容がシンプルでわかりやすく、保険金額の自由度が高いこと、また、必要保障額のシミュレーションや保険料試算を簡単に行なえる点などから高い人気を集めています。
本特集では、ネット保険の低価格のしくみとその節約効果を検証すると同時に、保障内容に不足がないかどうか、大手生命保険との比較、加入時に注意したいポイントなどを見ていきます。
Chapter2 ネット保険と大手保険を比較
最初に、ネット保険を、大手保険会社の同タイプの生命保険(定期保険)と比較してみましょう。
おもな比較のポイントは、①特約、②保険料、③死亡保障額の3項目です。
ライフネット生命『かぞくへの保険』
種類:定期死亡保険
保障内容 |
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保険料試算(月額) ※条件:年齢30才/期間10年/特約なし |
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死亡保障額 | 500万円~1億円(100万円単位で設定可能) | ||||||
保険期間 |
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契約可能年齢 | 20歳以上、65歳以下 | ||||||
その他 |
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日本生命『定期保険EX』
種類:定期死亡保険
保障内容 |
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保険料試算(月額) ※条件:年齢30才/期間10年/特約なし |
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死亡保障額 | 2,000万円~(加入者の年収に応じて対応) | ||||||
保険期間 |
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契約可能年齢 | 60歳まで | ||||||
その他 |
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明治安田生命『個人定期保険』
種類:定期死亡保険
保障内容 |
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保険料試算(月額) ※条件:年齢30才/期間10年/特約なし |
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死亡保障額 | 1,000万円~3億円 | ||||||
保険期間 |
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契約可能年齢 | 16~70歳 | ||||||
その他 |
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※ 上記保障内容・保険料は、日本生命・明治安田生命に関しては2014年3月19日時点、ライフネット生命に関しては2014年5月2日時点、アクサダイレクト生命に関してはクチコミランキングが、2019年10月1日の時点に調査したものです。詳細は各社HPをご確認ください。
1. 特約を比較 ~生命保険と医療特約の関係~
上記の比較ポイントを、一つずつ見ていきましょう。
最初のポイントである「特約」については、大手生命保険が入院・手術等をカバーする医療系の特約を多く用意しているのに対して、ネット保険には特約がほとんどなく、あっても主契約の死亡保障に関連したもの(例:死因が不慮の事故の場合、追加保険金が支払われるなど)にとどまります。
特約が付いていないことは一見、マイナスのようにも思えますが、生命保険の種類と特徴を理解し、上手に使い分ければ、必ずしも欠点にはなりません。
右2つの大手保険会社のように、生命保険には医療特約がつけられるようになっているものが多くあります。これは、特約というかたちで医療保障を備えるほうが、単体の医療保険に入るよりも安い保険料で医療への保障を準備できるためです。
しかし、特約は主契約の満期・解約で一緒に契約が切れるため、医療保障をずっと準備しておきたい場合は注意が必要です。
たとえば、表にあるような定期型の生命保険に医療特約をつけるパターンでは、生命保険の満期や解約によって医療特約もなくなってしまうために、保険期間終了後は、そのまま契約を更新するか、新たに医療保険に入り直し、医療への保障を確保する必要があります。
ただし、保険は一般に、加入者の年齢が上がるほど保険料が高くなるため、更新や新規加入時の保険料は、どうしても割高なものとなります。
また、生命保険は定期保険のほかに、保障が一生涯続き、保険料もずっと変わらない終身タイプの保険もあります。この終身生命保険に医療特約をつけた場合、死亡保障・医療保障ともに保険料アップや保障切れなどの心配はありませんが、保障が終身となるぶん、月々の保険料は、やはり割高なものとなります。
こうしたもろもろの事情をふまえて、最近では、死亡保障と医療保障というふたつの保障を別々の保険で準備するケースが多く、死亡保障のみ・医療保障のみなど、それぞれに特化した保険へのニーズが高まっています。
ネット保険に特約が少ない理由は、余分なオプションを抑えることで保険料を引き下げ、保障の内容を理解しやすくしていると同時に、特化型の保険を活用するという昨今の保険ニーズに応えたものと言えるでしょう。
2. 保険料を比較 ~ネット保険の低価格の秘密~
ネット保険と大手生命保険のもっとも大きな違いは保険料です。30才で3,000万円の死亡保障をかけた場合の保険料を比較してみると、ネット保険は大手保険の約2分の1から3分の1程度。
ネット保険がこのような低価格を実現できる理由は、主な販売経路をインターネット専業とすることで店舗などの設備費や維持費、代理店や販売員などの人件費を大幅に削減しているためです。
また、解約返戻金や配当が一切ない掛け捨て型であること、死亡保障に特化したシンプルタイプの保険であることも、保険料の低価格化に一役買っています。
3. 死亡保障額を比較 ~保障額は柔軟に設定可能~
ネット保険と大手生命保険のもう一つの比較ポイントは、死亡保障の金額です。大手生命保険は最低額が1,000~2,000万円となっていますが、ネット保険では、500万円から100万円単位で設定可能など、比較的、低額の死亡保障にも対応していることがわかります。
生命保険の必要保障額は、加入者のライフスタイル(独身or既婚、子供の有無等)や、ライフステージ(子供の年齢、将来の住居購入計画等)によって変わり、一般に、シングル世帯で300~500万円、子供のいない夫婦世帯で1,000~2,000万円、自営業や子供のいる世帯では3,000~6,000万円と言われます。また、一生同じということはなく、子供の成長・加入者の定年退職など、時間の経過とともに起こる様々な変化によって上下していきます。
たとえば、高額保障を必要としないシングル世帯や子供のない夫婦世帯などの場合、結婚や子供の出産等で必要保障額が変わるまでは、ネット保険が提供している低額の死亡保障を定期でかけておくほうが、高い死亡保障の生命保険に入るよりも合理的と言えます。
迷った時に便利な保障額シミュレーション
自分にいくらの保障が必要か、また、その金額がいつまで同じで良いかを出したい場合は、各生命保険会社のサイトで必要保障額をシミュレーションすることができます。これは、年齢・性別・職業や家族構成、将来の結婚予定・住居購入予定等を入力することで、死亡時に必要な金額を出してくれるシステムで、生命保険選びに大いに役立ちます。
シミュレーション結果は、各保険会社が設定している前提条件(夫が亡くなったあと妻が働くかどうかや、実家に戻るかどうか等)によって金額が一致しない場合もありますが、複数の保険会社でシミュレーションし、内容を比較することで、さまざまなケースでの必要保障額を出すことができるほか、その保険会社の条件設定に妥当性があるかどうかを知ることもできます。
必要保障額をシミュレーションできる生命保険サイト
ライフネット生命「保険料見積もり」
ライフネット生命が提供する保険シミュレーション。加入者の生年月日と性別を入力するだけで、ライフネット生命が取り扱う各保険商品の保険料を一括で算出してくれる。
日本生命「必要保障額シミュレーション」
日本生命が提供する保険シミュレーション。「簡易版」と「詳細版」の2種類のシミュレーションで必要保障額を算出できるほか、医療費のシミュレーションも可能。数値の算出根拠についても解説されており、保障設計に役立てやすい。
Chapter3 ネット保険の注意点
保険料の安さと管理の容易さで有利なネット保険ですが、加入時に心がけておきたいポイントもいくつかあります。
1. 医療保障・がん保障は別保険でカバー
前述の通り、ネットの生命保険は、死亡・高度障害保障に特化した生命保険です。そのため、一つの保険ですべての保障をカバーすることはできず、医療保障やがん保障などが欲しい場合は、別に準備をする必要があります。
医療保険・がん保険のどちらとも、生命保険と同様、保険料が割安なネット保険や通販型保険の人気が高くなっていますが、必要保障額がその時々で変動する生命保険とは異なり、病気やケガ、がんへの備えは一生必要という観点から、終身型に注目が集まっている点が特徴的です。
ただし、医療保険については、健康保険(国民健康保険)や高額療養費制度といった公的保障が国によって整備されているため、ある程度の蓄えがある人は貯金でカバーすることも可能です。そのため、現在および将来の貯蓄額を加味したうえで検討すると良いでしょう。
また、蓄えがない場合は、貯金を作るまでの一定期間のみを定期型の医療保険で備える方法も合理的と言えます。
がんへの備えについては、高額の治療や長期間の治療が多いこと、また、医療技術の進歩によって、現在では通院治療の比重が大きくなっていることから、長期の通院・入院をカバーしている保険商品を選ぶことが大切です。手厚い保障内容のがん特約が付加出来る医療保険を選択するか、がん保険への単体加入がおすすめと言えるでしょう。
ライフネット生命終身医療保険
『新じぶんへの保険』
新しくなったライフネット生命の終身医療保険。従来よりも手頃な保険料で、より充実した保障を実現している。日帰り入院でも給付金は5日分が支給され、手術保障も付帯。さらに、おすすめコースの加入で、がん・先進医療も保障可能。
保障期間 | 終身 | ||||||
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入院保障 |
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手術保障 |
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保険料試算(円/月額)(※年齢:30才/1入院あたりの保障限度日数:60日) |
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主な特約 |
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2. 浮いた保険料は貯金に回す
生命保険の中には、満期時・解約時等に支払った保険料の一部がもどる「貯蓄型」と呼ばれる商品があります。これらの保険は、保険料を払い続けることで自動的に貯蓄ができる反面、「月々の保険料が割高である」「支払った保険料が全額戻ってくるわけではない」等のデメリットもあります。
一方、掛け捨て型のネット保険には、このような貯蓄性はありません。しかし、貯蓄型の保険に比べて大幅に保険料が安いため、浮いた保険料のぶん、家計で使えるお金(=可処分所得)を増やすことができます。
逆にいえば、保険節約のためにネット保険を活用する場合は、保険に貯蓄性を求めず、保険は保険、貯金は貯金と区別をつけて、資産の一部を貯金で持つことが非常に重要です。
貯金は保険と異なり、病気の際の入院費や住宅購入資金、資産運用など、あらゆる用途に使うことができます。保険も貯金も「いざという時の備え」である点には変わりありませんが、汎用性の高さにおいて保険は貯金にかないません。
賢い保険の入り方とは、必要な保障を受けられる安い保険を見つけ、浮いたお金で生活予備資金(=貯金)を充実させることと言えるでしょう。
3. 定期的に見直しを
生命保険に加入している方は、定期的な保険の見直しが不可欠です。それはネット保険も例外ではありません。
前述の通り、結婚や出産など、人生で起こるいくつかのライフイベントによって、生命保険の必要保障額は変化します。また、ネット保険の多くは定期保険であるため、保険期間終了後は自動で契約が更新され、更新後の保険料は更新前よりも高くなります。
そこで、ネット保険加入の際は、自分がかけた保険の保険期間と必要保障額を頭に入れておき、保険期間の終了=保険見直しの機会ととらえましょう。
たとえば、子供の誕生とともに3,000万円のネット保険を20年間かけた場合、見直しを行なわなければ、更新後、同額の保険をさらに20年間かけることになり、月日が経過しているぶん保険料も上がってしまいますが、20年の経過時点で子供が成人していることを考慮し、保障額を引き下げれば保険料の上昇を抑えることができます。
このように、一度加入した保険でも、10年、20年と経つうちに適正な保障額が変わっている場合が多く、保険の見直しを心がけることで、不必要な保障を省き、保険料をコントロールできる例は少なくありません。
Chapter4 ネット保険はポイントを押さえて「もれ」のない保障設計を
生命保険見直し講座「ネット保険に注目」いかがでしたでしょうか。
ネット保険は、インターネットの普及とともに生まれた新しいかたちの生命保険です。
安い保険料による節約効果もさることながら、シンプルな保障内容と柔軟性の高い保障額設定から上手に使うことで合理的な保障計画を組むことができる、注目の保険と言えるでしょう。
ネット保険を節約に活用する際は、従来の生命保険との違いをしっかり把握し、保障内容・保険期間・必要保障額のバランスをとったうえで「もれ」のない保障設計を築くようにしましょう。
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