今回は住宅ローンを無理なく返済する方法に焦点を当ててご説明していきます。
住みたい物件を見つけ住宅を手に入れた後は、住宅ローン返済がスタートします。住宅ローンには金利が発生するため、借入れた金額を上回る額を返済しなければいけません。また、住宅は購入後、固定資産税や修繕積立金、駐車場代、管理費、リフォーム代等の様々な費用が発生します。
住宅ローンを無理なく無駄なく返済するために、しっかりと知識を身につけ、賢い返済計画を立てましょう。
住宅ローンは1年や2年で払い終わるものではないため、長期的な視野に立った返済計画が必要になります。
一般的に住宅ローンの年間返済額の目安は年収の25%程度とされています。また、銀行や公庫、モーゲージバンクも年間返済額が年収の大部分を占める場合、借入に応じてくれません。快適な生活を送るためにも無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
※下表はフラット35の利用条件です。
年収 | 300万円未満 | 300万円以上400万円未満 | 400万円以上700万円未満 | 700万円以上 |
---|---|---|---|---|
基準(年間返済額) | 25%以下 | 30%以下 | 35%以下 | 40%以下 |
年収 | 基準(年間返済額) |
---|---|
300万円未満 | 25%以下 |
300万円以上400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上700万円未満 | 35%以下 |
700万円以上 | 40%以下 |
住宅ローンは、借入時に設定した金額を毎月返済していくことがベストではありません。その理由は、人生にはお金がかかる時期とかからない時期があるからです。
例えば、子供がいる家庭では、中学、高校と子供の成長にしたがって必要になるお金が増えていきます。そういった場合は、子供が大きくなる前に返済額を増やし、子供にお金がかかる時期は返済額を減らしましょう。また、子供に対する教育費の負担が既に大きい場合は、現在の返済額を減らし、子供が自立した後返済額を増やすという方法もあります。
大切なのは現在の状況だけで考えるのでなく、将来のライフスタイルの変化も考え、住宅ローンの返済計画を考えることです。
現代社会の構造は以前と比較すると大きく変化しています。当たり前だった終身雇用制は既に過去のものとなり、年功序列で右肩上がりだった給料も実力主義の名の下に一部の人を除き、頭打ちになりつつあります。つまり、現代は自分の将来の予測が極めて難しい時代といえます。
今後、住宅ローンを借入れる際は不足の事態を十分に考慮する必要があります。万一、会社の業績が悪化し、年収やボーナスがダウンすることがあったとしても無理なく住宅ローンを返済できるよう、余裕のある返済プランを立てましょう。また、将来の不確定要素に左右されないためにも余裕がある時に多めに返済し、住宅ローン残高を減らしておく心がけが大切です。住宅ローンは早めに返済しておくと総返済額も減少するため、計画の前倒しは大きなメリットがあります。
住宅ローンの返済計画は、1つだけではなくいくつかのパターンを作り、しっかりと検討するようにしましょう。
1つの案だけでなく複数の案を検討することで「何が良くて何が悪いのか」がわかってきます。
住宅の購入は自分のライフプランを見直す(設計する)良い機会です。この機会にご自分と家族の将来について真剣に考えてみては如何でしょう。
以下では、住宅ローンに関する様々な失敗やトラブル事例をご紹介していきます。
「私はしっかりしているから大丈夫!」
トラブルに巻き込まれた人の多くはそう思っていたはずです。
トラブルを回避するために最も有効なのは事前にしっかりとした知識を身につけておくことです。
自分のためにも、家族のためにも、トラブルを回避するための知識を身につけておきましょう!
住宅ローンは、毎月の返済とボーナス時の増額返済を組み合わせて返済していく方法が一般的です。
毎月一定の給料をもらうサラリーマン(公務員)家庭の場合、毎月の給料の返済額を低く設定し、臨時収入であるボーナスでの返済額を増やしたほうが目先の生活に影響が少なくなるため、今でもかなり多くの方がボーナスに偏った返済計画を立てています。
但しこの方法にはいくつか問題があります。
ボーナスは企業業績に左右されるため右肩上がりという訳にはいきません。ボーナスでの返済額を極端に高く設定すると、ボーナスでは支払えない場合が出てくることも考えなくてはいけません。
また、ボーナス時増額返済の場合、毎月の返済額が少なくなる分、ボーナスまでは元金があまり減少しません。
しかし、その減らなかった元金部分にも金利がかかってくる事から総返済額は若干増える事になります。金額にすれば数万~数十万ですが同じ金額のローンを返済するのに無駄に多く支払う必要はないはずです。
住宅ローンの基本はあくまで毎月の返済です。ボーナスは繰上げ返済時にうまく活用するという考え方にしたほうが、より計画的に住宅ローンを返済することができるでしょう。
住宅ローンを借入れると元金+利息を返済していくことになります。その返済方法には元利均等返済と元金均等返済という2つの方法があります。
元金等返済とは返済する元金分を一定にし、その時の借入金にかかる利息を上乗せして返済する方法です。この方法は借入当初の返済額が大きくなりますが、元金が返済の度に減っていくため徐々に返済額が減っていきます。
対して元利均等返済は返済額の元金と利息分を合算、調整することで毎月の返済額を一定額に抑えることができます。
こうしてみるとどちらの方法もそれほどかわらないように感じますが総返済額で見ると、元金均等返済のほうが圧倒的に有利です。(※返済額の合計は借入金額や年数によって変わりますが、数百万円単位の差が出る事もあります。)
理由は元利均等返済は最初の返済に対する利息の割合が高く、元金がなかなか減らないのに大して、元金均等返済は当初の返済額は多くなりますが一定額の元金を常に返済していくので、元金にかかる利息が徐々に減っていくためです。
返済計画を立てるのであれば、毎月返済額が一定の元利金等返済のほうがやりやすいですが、資金にある程度余裕があれば元金均等返済のほうがお得です。
どちらの返済方法を選択するかは自由ですが、2つの返済方法にどういった特徴があり、最終的な返済額がどうなるのかは知っておいたほうが良いでしょう。
住宅は高額な買い物ですから、親や夫婦でお金を出し合って購入することもあります。この際注意しなければならないのは、購入資金の出し方と住宅の持ち分です。
例えば、5,000万円の家を購入し、旦那さんが3,000万円、奥さんが2,000万円出したとします。この場合、住宅の名義をどちらか一方にしていまうと残りのお金を贈与として判断され課税対象になる場合があります。この問題を回避するためには、住宅の持ち分割合を出した資金に応じて適切に設定し、住宅を共有名義にしておく必要があります。共有名義にしておけば、贈与税はかかりませんしローンを分担する事で、それぞれが住宅ローン控除を受ける事ができます。
但し、共有名義にしたからといってトラブルの種が消えるわけではありません。例えば夫婦間で住宅を共有した場合、離婚した際に残りのローン返済の割合などでトラブルになるケースがあります。また、親と共有していた場合は相続の際、兄弟間で持ち分割合の紛争になる可能性が出てきます。その他にも住宅を売却する際には、共有名義者全員の署名が必要という制約が発生します。
共有名義にする事が悪い訳ではありませんが、そのことによるメリット、デメリットはしっかり把握しておきましょう。
住宅購入は人生最大の買い物ですから失敗やトラブルに巻き込まれた場合のショックも計り知れません。
但し、住宅購入に関する失敗やトラブルは、事前に対策しておくことでほとんどの場合、回避することができます。
そのために必要なのはしっかりと勉強し、トラブルに遭わないようにする事が第一条件です。それでも巻き込まれてしまった場合は専門家に相談するなどして出来るだけ速やかに問題を解決しましょう。
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※2024年4月時点
※2024年4月時点